なべ
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 今回のコラム寄稿者は MYGWHRK さんです。
 皆さんのお家には今、お鍋がいくつありますか。
フライパン、天ぷら鍋、卵焼鍋、煮物鍋…大小さまざまある鍋。それが急に使えなくなったのです。
 実は主人は以前よりガスコンロには反対でした。それには私が時々こがすお鍋の事もありますが、「IHコンロの方が切り忘れても、地震の時も自然に切れてくれるから安心だよ。」と言うのです。私はそれより流し台の下の積み重ねたお鍋を、腰をかがめて取り出すのがとても億劫に思うようになりました。
 それらを一気に解消しよう、少しでも若いうち(?)元気なうちに…と思い立ち早速職人さんに見積もりをお願いしました。
 ところがその職人さん、「このシステムキッチンを壊すのはもったいないじゃあないかね。」と言うのです。「でもお鍋の出し入れがとっても大変なんです。」と私。
 「奥さんね、だれでもなかなかモノを捨てることはできないもんだ。だから捨てるんじゃあなくて、使うモノと使わないモノを区別して入れるといいんだよ。」と諭すように言われ、結局、IHコンロだけを変えることに…。
 コンロは5日くらいで入荷できると言うことでそれまでに全部片付けておこうと早速取りかかりました。見ればお鍋よりも瀬戸物の方がはるかに多く、私はやっぱり使わないモノは捨てよう、と心に決め、思い切ってきれいに片付け、後はコンロの到着を待つばかりでした。
 ところがあの東北大震災です…。
 営業の方が何回も搬入の遅れを告げて来ました。流通が途絶えていて、本当に困った様子です。その時、いろんな所に大きな影響が広がっている事を知りました。私は急に、オール電化にしようとする事が心配になり、IH使用のお鍋を買う気にもならず、日が過ぎ、いつしかそのまま忘れておりました。
 それから一ヶ月あまり、四月半ばのある日、コンロが到着しました。
 大勢で手際よく納めてくれて一段ときれいになったキッチンに私はうれしく、今夜は何を作りましょう、と思った瞬間、「あら、お鍋が1つもないわ!!!」
 私は思わず叫んでいました。それを見て営業の方が笑いながら「1つサービスについていますよ。」と新品のお鍋を出してきてくれました。
 見ると、天ぷら鍋の少し深いと言うような形です。フタもなく、慌てて前の硬化ガラスのフタを持ち出し、なんとか支度に取りかかりました。 …新しい鍋1つで作る夕食。一品ごとに鍋を洗い、他の器に移して使うもどかしさに、ふっと震災に遭われた多く方々はどんなにか不自由な思いをされていることか、と気付かされました。 
 一日も早く、普通のおだやかな生活に戻れますように心から願わずにはいられません。
 この1つの鍋は私にとって一生忘れられない大切な鍋となるでしょう。
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