「スパゲッティ」と言う名の椅子
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 今回のコラム寄稿者は、IWSKKJさんです。
 実家のダイニングカウンターに6脚並ぶ思い入れのある椅子。スチールでできたフレームに背面と座面にビニール素材の直径4ミリほどのコードが規則正しく平行に何本も並んでいる黒い椅子。その名も【スパゲッティ】。
 椅子に名前があるという事も面白いが、よりにもよって【スパゲッティ】。
 私が小学校6年生の時だから、今から35年も前のこと。両親が一念発起して駅前に美容室を移転新装開業の年。
 父は12歳の私を東京までサロンの椅子を探す事に付き合わせた。原宿、南青山、六本木。2日間巡った。サロンに賭ける意気込みが、この椅子探しの旅から子供の私にも伝わった。そこで両親の心を射止めたのがこの椅子。一脚6〜7万円程だったと思う。当時としては高価だ。思い入れがある。愛おしく思うのだ。
 15年間美容室の待合の椅子として働き、ここ20年は住まいで住人と来客に仕えている。
 なんとこの椅子35年も使っているのに、美容室では何百人何千人と体重を支えてきたのに…未だ、何の遜色もない。
 塗装が剥げてもいないし、ビニール素材のコードも伸びていない。もちろん切れてもない。座り心地は上々。この椅子を誰かにあげるでもなく、処分するでもなく両親はこの椅子を手放さないのだ。
 イタリアのインテリアデザイナーが作った。なるほど、スパゲッティとはイタリア人らしい。現在も後継モデルが販売されてるようだ。
 さて、私の周りに他にも長生きして使っているものがある。1つは私が中学3年、高校受験の夏。33年前、勉強するのに暑かろうと祖母が買ってくれた卓上の扇風機。今も現役で毎年夏、美容室内で使っている。何の遜色もない。パワーは充分、音も静音。油をさした記憶がない。
 もう1つはスタッフ控え室の電子レンジ。 90年製と書いてあるので、今年で30年。
 ちゃんと温めることができる。 .
 そして私にとって初代である東芝製のノートパソコン。今年で19年目。店の経理、財務に今も使ってる。未だ現役。上記の3つ全てが国内メーカーだ。
 逆の事を挙げると二◯リで買った中国製の安価な卓上の扇風機は買って3年目の夏に動かなくなった。そもそもパワーも弱かった。ティ◯ァール社のスティック型の掃除機は4年で駆動部分が破れてお終い。
 他にも「安物買いの銭失い」事象は枚挙にいとまがない。
 これはどういう事なのか。昨今、デフレの波なのかコストを下げ、コスパ・安さを追求する我々消費者が悪いのか、結局そう言う事だ。
 昔は作り手が情熱とプライドを持って作っていた、海外で作らず当時は国内で作ったのだろう。前出の長生きアイテム達はきっと【ちゃんと】作られていた。だから長く使え、愛着も持てる。
 これからの超スピード時代の中で、私も、私のサロンも、はたまた美容組合も、長く使ってもらえる存在でありたいものである。
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